ベランダ・屋上を守る防水工事
防水工事は大きく分けて【塗る防水】と【貼る防水】があります。塗る防水はウレタン防水やポリマーセメント系防水などを床面に塗り、膜を造り雨水の侵入を防ぐ工法です。貼る防水はシートを貼って雨水の侵入を防ぐ工法になります。ここでは代表的な防水工法をそれぞれ解説します。
ウレタン防水 屋上・ベランダを塗り雨漏りを防ぎます。
塗る防水の代表格、ウレタン防水です。コテ、刷毛、ローラーなどを使い塗っていきます。ウレタン防水は密着工法と通気工法があり、後述しますが一般的に、ベランダなど狭い箇所には密着工法。屋上やルーフバルコニーなど比較的広い面には通気工法で仕上げる場合が多いです。
ウレタン防水の長所と短所。
■長所・・・継ぎ目のない防水層が出来ます。
■短所・・・臭気があります。下地の凹凸の影響をうけやすいです。
シート防水 屋上・ベランダにシートを貼って雨漏りを防ぎます。
貼る防水の代表格、塩ビシート防水です。厚さ2mm程度の塩化ビニル樹脂のシートを貼っていきます。こちらもウレタン防水と同様に密着工法と通気工法があります。手摺りの架台や空調設備などの障害物が少ないと施工性はいいのですが、逆に多くなると施工性が悪くなります。
シート防水の長所と短所。
■長所・・・シートそのものが均一ですので品質が安定します。
■短所・・・継ぎ目が出来、シートの重ね部分に段差が出来ます。
密着工法と通気工法
先ほど述べましたとおり、このウレタン防水・シート防水には【密着工法】と【通気工法】2つの工法があります。
密着工法はベランダ・屋上の床面にそのまま塗るあるいは張る工法。
通気工法は文字通り通気の層を作り湿気の逃がす工法です。
ウレタン防水にしろシート防水にしろ価格は密着工法の方が安いので、ついつい密着工法を選んでしまいそうになりますが、
施工完了後、防水面の『膨れ(ふくれ)』が起きる可能性が高くなります。
こちらの画像は夏の暑さで床面が熱せられ防水層が膨れている様子です。
実際にカッターで浮いている部分を撤去すると、下地のコンクリート面からうっすらと湿気が確認できます。
比較的安定した気温の場合は、膨れは抑制されるのですが夏の気温上昇の際によく見られる現象です。
これは建物内に溜まった雨水の残留水分が、真夏の太陽で熱せられたことにより蒸発しようとして『膨れ』につながっているという訳です。新築の場合は残留の水分はありませんので、膨れは起きないのですが改修工事の際には注意が必要です。
これは施工の手抜きではなく、キッチリと施工していても起きますので『防水工法の選択』が間違っているというわけです。
ウレタン防水の緩衝マット。 シート防水の通気シート。
直接、塗り、貼りを行なわず一旦このように通気層を設けてからその上に防水層を作っていきます。
防水工事は金額だけではなく後々に不具合が起きにくい工法を選ぶことが重要です。