昔、私(永濱)がこの世界に入った頃、色合わせができたら塗装屋は一人前と言われてました。そのため調色(色合わせ)はベテランの職人さんが担当するものでした。
色合わせの作業を親方から任命されだしたのは修行して10年を超えた頃です。コーヒ缶に1杯分の量が必要量にも関わらず、色が合わずにバケツ1杯作ってしまうのが色合わせ初期のあるあるパターンです(笑)
ただ、最近では塗料屋さんに『調色された塗料』を発注し卸してもらうので、現場で色合わせをする機会が昔に比べて極端に少なくなりました。
ですが、タッチアップ(部分塗り)をする際は、まだまだ色合わせの技術が必要です。うすい色であれば白に赤・黒・黄・青の4色を混ぜ指定された色を作ります。
1枚目の画像を見ていただくと分かるのですが、赤く〇枠をしている所は最初に色あせした箇所で若干青みが効いていますね。ここで何色を入れるのかという事になるのですが白と赤になります。
白と赤を加えた写真です。ほぼほぼ合ったのではないでしょうか。既存の壁自体が自然風化していますので、艶感の事もあり全く一緒にはなりませんが、これくらいだと許容範囲になるかと思います。
昔、一緒に仕事していた職人さんで色合わせの名人がいました。当時、年齢は60歳を超えていましたが、寸分狂わない調色でそれは見事なものでした。色合わせをする時は、なぜかその方を思い出します。
塗って間がない場合は塗膜が艶でピカピカしてますので誰でも合わせられます。数年経って、表層が風化している色に合わすのが難しいのです。それでも名人はピッタリ合わせていました。プロ中のプロです。
さきほど許容範囲と言いましたが、もうこの世にいないその名人から見られていて『まだまだ合っていない』と言われてるような気がしてなりません。